急性閉塞隅角症(急性緑内障発作)

急性閉塞隅角症(急性緑内障発作)とは

目が痛い

目が痛い眼圧が急激に上昇して短期間に失明する可能性がある急性閉塞隅角症(急性緑内障発作)は、これまで目や見え方に問題がなく、眼科を受診したことがない方に起こることが多いです。
通常、緑内障は徐々に症状が進行することが多く、初期には自覚症状を起こすことがほとんどありませんが、急性緑内障発作では眼圧が突然急上昇して視神経に大きな負担をかけますので、一晩で失明に至ることもあります。急性閉塞隅角症(急性緑内障発作)を起こした場合には速やかに適切な治療を受けて眼圧を下げることが重要です。また、治療を継続することで進行を抑制できます。
くも膜下出血など脳卒中と共通した激しい頭痛や吐き気・嘔吐などの症状を起こすことから、内科や脳神経外科などをまず受診されるケースが多いのですが、その際にも眼圧を調べることが重要です。

急性閉塞隅角症の症状

突然眼圧が急上昇し、通常の緑内障とは全く異なる激しい症状を起こします。

など

急性閉塞隅角症の原因

眼球内には光を遮る血液は流れておらず、栄養を運ぶのは透明な房水という液体です。房水は毛様体でつくられて眼内を流れ、虹彩と水晶体の間からフィルターである線維柱帯を経てシュレム管に排出され、血管に吸収されます。房水は眼球が丸い形を保つために内側から適切な圧力をかける役割も担っており、つくられる量と排出される量が釣り合っていれば一定の眼圧を保ちますが、排出量が減少すると眼圧を上昇させます。房水の出口である隅角で房水の流れが悪化する閉塞隅角が生じ、房水がほとんど排出されなくなってしまうと眼圧が急上昇して急性閉塞隅角症を起こします。
市販薬に含まれる成分によって急性閉塞隅角症を起こすこともあります。市販薬の風邪薬、抗ヒスタミン薬、睡眠薬、手術や胃カメラの際の麻酔薬など幅広い薬に含まれる抗コリン作用を持つ成分は、隅角を狭くしてしまう働きを持っています。特に症状がなくても眼科検診で狭隅角を指摘された場合には、慎重な薬の服用が必要であり、急性閉塞隅角症を起こすリスクがあることを理解した主治医や薬剤師としっかり相談してから服用するようにしてください。また、手術や検査などで麻酔を受ける際にも注意が必要です。
狭隅角は、レーザー治療白内障手術などを受けることで急性緑内障発作予防につながります。狭隅角を指摘されたら予防的な治療を受けるようにしましょう。

急性閉塞隅角症の治療と予防

急性閉塞隅角症を起こした場合、迅速に眼圧を下げて視神経への障害を最小限にとどめることが重要です。

薬物療法

急上昇した眼圧を下げるために行います。点眼薬である12%ピロカルピンを頻回に点眼し、マンニトールやグリセオールなどの高浸透圧薬を点滴します。
頭痛や目の痛みが強い場合には鎮痛薬を投与します。

レーザー治療

レーザー虹彩切開術(LI) や周辺虹彩切開術(PI)によって房水排出のための通り道となる小さな孔をつくります。点眼麻酔によって行うことができ、眼球内が確認できる場合にはレーザー虹彩切開術(LI)を、濁りなどがあって確認できない場合には周辺虹彩切開術(PI)を行います。
片目のみ発作を起こした場合も残りの片目が発作を起こす可能性が非常に高いことから、もう片目も同時に予防的な治療を行います。


白内障手術

急性閉塞隅角症の予防に、白内障手術が役立つケースは少なくありません。白内障手術では濁った水晶体を除去して人工の眼内レンズを入れますが、水晶体に比べて眼内レンズは薄く、隅角の圧迫を減らして房水が通りやすくなり、眼圧を下げることにつながります。


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