強度近視

強度近視とは

近視度数が強い近視で、目の前面から眼底までの距離である眼軸長が伸びて長くなってしまっている状態が強度近視です。手を遠くから目に向けてゆっくり近づけ、焦点が合う距離が11㎝以下の場合、強度近視が疑われます。確認する際には目を細めるなどせず、自然に見てはっきり見える位置を確かめましょう。
強度近視は、さらに深刻な視力低下につながる網脈絡膜萎縮、近視性牽引性黄斑症、緑内障などを合併症として発症するリスクが高く、異常の早期発見のために定期的な眼科受診が重要になってきます。


強度近視で生じる症状

  • 視力低下
  • かすみ、ぼやけ
  • 見たい部分がよく見えない
  • 中心がゆがんで見える
  • 中心が暗く見える
  • 見えない部分がある

など

強度近視の合併症

緑内障

みえづらい視神経が障害されて視野が徐々に欠けていく進行性の疾患で、日本では成人の中途失明原因の第1位となっています。
視野の欠損の状態によって、緑内障は初期・中期・末期に分けられます。初期には自覚症状が乏しく、ほとんどの場合は眼科検診を受けてはじめて発見されます。進行すると視野の欠損が広がって視野が狭くなっていきますが、視力が極端に落ちる末期になるまで自覚症状を起こさないケースが多いです。



網膜剥離

網膜は眼球の内側にある膜で、目の中に入ってきた光を受け取って、視覚情報として視神経へ伝える役割を持っています。網膜剥離は網膜がはがれてしまった状態で、急激な視力低下や失明に至る可能性もあります。
強度近視の場合、網膜が引き伸ばされて強度が弱くなっていますので、網膜剥離を起こすリスクが高くなります。急に一部が見えなくなった、急に視力が低下したなどの症状がある場合は、速やかに受診してください。


近視性牽引黄斑症

網膜はいくつもの層が重なっていますが、強度近視で網膜が引き伸ばされることで層がはがれてしまい、進行に連れて視力が低下していきます。さらに進行すると網膜剥離や網膜の中心である黄斑に穴が開く黄斑円孔を生じます。
網膜剥離や黄斑円孔を起こした場合、大幅な視力低下を起こして適切な治療を受けても視力の十分な回復が望めない場合もあります。できるだけ早期に発見して適切な治療につなげることが重要です。


近視性脈絡膜新生血管

強度近視で眼球が引き伸ばされ、網膜と脈絡膜の間に亀裂ができ、そこからもろくて破れやすい新生血管が網膜に侵入し、出血を起こして急激な視力低下やゆがんで見えるなどの症状を起こす病気です。抗VEGF薬の硝子体注射が有効です。


近視性視神経症

強度近視で脳に視覚情報を送る視神経や視神経線維が引き伸ばされてしまい、それによって視神経や視神経線維が障害され、視野が欠けていくのが近視性視神経症です。
治療では欠けてしまった視野を取り戻すことはできず、点眼薬で眼圧を下げて視神経への負担を軽減し、進行を抑制する治療が中心となります。残された視力や視野を守るために、できるだけ早期に発見して治療を続けていく必要があります。

強度近視の検査

強度近視の状態を確認し、合併症の有無やリスクを調べる検査を行い、必要な治療を行います。進行性の症状の経過観察や治療効果確認のための定期的な受診も不可欠です。

視力検査

眼鏡やコンタクトを付けない裸眼視力を調べます。検査用眼鏡を使用した矯正視力を計測することもあります。


眼底検査

網膜に眼底出血やむくみといった病変がないかを確かめ、状態を観察する検査です。細隙灯顕微鏡などによって眼底に光を当て、病変を拡大して状態を詳細に把握できます。


OCT検査(光干渉断層計)

眼底検査で強度近視による網膜障害が疑われる場合に行う検査で、網膜の断面を詳細に観察できることからもろくて破れやすい新生血管の有無を確認でき、病気の早期発見に役立ちます。加齢黄斑変性による血管新生や網膜のむくみなども確認できます。


蛍光眼底造影

蛍光色素を含んだ造影剤を使った眼底検査で、新生血管や出血のある場所を正確に把握できます。検査自体の所要時間は10分程度ですが、準備と説明、結果や治療方針の相談などを含めて2時間程度かかります。

強度近視の治療

強度近視や合併症の治療には、手術やレーザー治療、抗VEGF薬を使用した硝子体注射があります。当院では検査を行ったうえで、適切な治療法を選択いたします。

経過観察

硝子体注射は何度か繰り返し受ける必要がある場合も多く、治療後は定期的に経過を観察し、新生血管の活動がないかを確かめる必要があります。通常、3か月ごとに検査し、新生血管が確認できた場合は再度、硝子体注射を行います。


TOPへ