エクスプレス
アルコン エクスプレス®緑内障フィルトレーションデバイスは、全長2.6㎜という極小ステンレス製の医療用インプラントです。このインプラントを眼内に挿入して埋め込むことで房水の通り道をつくり、結膜の濾過胞へ房水を導いて眼圧を下げ、緑内障による視神経障害の進行を抑制する効果が期待できます。
結膜と強膜を小さく切開し、専用の針で眼内に極小の孔を開けて、アルコンエクスプレス®緑内障フィルトレーションデバイスを挿入し、正確な位置に埋め込みます。切開した強膜をかぶせて縫合し、結膜を縫合したら手術は終了です。埋め込む場所は通常、上まぶたがかぶさる上部に行われます。
体への負担が比較的少ないだけでなく、合併症も少なく、回復も早い傾向にあることが報告されています。
プリザーフロ
プリザーフロ・マイクロシャント緑内障ドレナージシステムは は2022年3月に国内承認を得た新しい緑内障手術用デバイスです。
効果や安全性については、すでに海外で複数報告されています。
強膜切開を必要としない、濾過手術系の低侵襲緑内障手術(Minimally Invasive Glaucoma Surgery; MIGS) として注目されています。
使用するにはメーカーによるcertificate(修了証明書)が必要ですが、当院ではすでに取得済みで 適応のある患者さんには使用開始しています。
バルベルト・アーメド
難症例に行われる手術であり、通常の緑内障手術を複数回行っても目標とする眼圧まで下げられない場合にも行われることから、緑内障治療の最終手段とされています。一般的に行われているトラベクレクトミー手術を50例以上行っている医療機関でなければ行うことができない高度な手術です。
緑内障治療に使われるインプラントにはバルベルト緑内障インプラント、アーメド緑内障バルブがあり、当院では主にア―メドを使用しております。
眼内に挿入したチューブを通して溜まった水を流出し眼圧を下げる作りになっており、術後すぐに眼圧が下がります。
また水が流出しすぎて低眼圧にならないよう、適切な流量を調節しています。
チューブとプレートはシリコン製ですので合併症を起こさない限り生涯使い続けることが可能で、見た目でもほとんどわかりません。ただし、眼球を動かす筋肉の間に留置することから眼球運動への影響がまれに生じるとされています。
インプラント手術の主な合併症
- 角膜障害
- 白内障
- 濾過胞炎・眼内炎などの炎症
- 駆逐性出血
- 目の痛み・頭痛・視力低下
- 高眼圧・低眼圧による網膜障害や視力障害
- 乱視の増加
など
手術ですので、合併症が起こる可能性があります。合併症をできるだけ予防するために術前や術後の点眼は指示された通りに正確に行い、経過観察の検査も忘れずに受けましょう。
インプラント手術後のケア
この手術は、手術が成功し、術後に眼圧の十分なコントロールができるようになることを目標に行われます。術後は眼圧の状態に応じて点眼薬や内服薬の処方を行い、必要があれば術後に追加の手術や処置を行って眼圧の再コントロールが可能です。
眼圧が高い場合
LSL(laser suture lysis)
レーザー糸切り術と呼ばれる処置で、縫合した糸をレーザーで切糸し、眼外に流出する房水を増加させて眼圧を下げます。3分程度の処置です。
濾過胞再建術・流出路再建術
術後経過観察をある程度行ってから眼圧が下がらない場合に行います。術創の癒着剥離、再癒着の防止などの処置を行い、眼外に房水を流す道を再整備します。
眼圧が低い場合
再縫合
過剰に房水が排出されている場所を特定し、縫合処置を行います。低眼圧黄斑症や角膜内皮障害予防のためにも重要な処置です。
インプラント手術後の注意点
金属製のインプラント(エクスプレス)を埋め込む手術を受けた場合は、頭部MRI検査には注意が必要です。術後2週間以内の頭部MRI検査は基本的に控えてください。
ただし、くも膜下出血や脳出血、脳梗塞など、命の危険につながる緊急性の高い病気の有無や状態を確かめる必要がある場合には、脳神経外科医の判断に従ってください。
手術費用
1割負担(片眼) | 3割負担(片眼) | |
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インプラント手術 | 約18,000円 | 約110,000円 |
※あくまで目安の費用となります。
70歳以上で、保険負担割合が1割・2割の方は共に、自己負担限度額が18,000円です。
3割負担の方は57,600円以下です。
それ以上の窓口負担はございません。